2018年10月6日土曜日

日記: 東京ジャーミイの見学

今日は東京ジャーミイ(日本語公式ウェブサイト: https://tokyocamii.org/ja/)の日本語ガイド付き見学に行った。東京ジャーミイというのは、代々木上原にある日本最大のモスク(イスラームの礼拝堂)である。ジャーミイは、モスクの中でも合同礼拝が行われる大規模なものを指す。

代々木上原駅南側の井ノ頭通りを西(代田橋駅側)に向かうと、住宅街の中に東京ジャーミイのミナレット(塔)が現れる(写真1)。僧侶にとっての修行場である寺院の多くが比叡山や高野山など高山に立地しているのに対し、モスクはあくまで人々が集まる礼拝堂であり、イスラーム圏ではモスクを中心として都市が形成されるという。

写真1 ミナレット

ミナレットを目印に道を進んでいくと、入り口(写真2)にたどり着く。一階部分はトルコ文化センターになっている。トルコ文化やイスラームに関するセミナーが行われているとのことだ。このモスクもオスマン様式で建てられたイスタンブール風の建築だと聞いた。

写真2 入り口

そのまま道を進んで交差点を左折し回り込むと、重厚で荘厳な外観を眺めることができる(写真3,4)。白を基調とした建物が青空によく映えていた。

写真3 外観(1)
写真4 外観(2)

近くにはイスラーム系のインターナショナルスクールがあり、行き交う児童(おそらくムスリムだろう)たちが解説の人に挨拶をしていた。
写真3では、建物に穴の空いた装飾が付いていることが確認できる(写真5)。これは鳥の巣箱だそうだ。モスクが社会の荒波から人々を守る避難所としての役割を果たしているように、鳥にとっての避難所でもあるのだ、という説明を受けた。

写真5 写真3の一部を拡大したもの

建物の二階は礼拝堂になっている。入り口(写真6)を潜る際、女性はスカーフの着用を求められていた。忘れた人への貸し出しもあるようだ。

写真6 礼拝堂入り口

中の美しさは圧巻だった。壁面と天井には意匠を凝らした装飾が施され、己を取り囲むように広がる優美な模様とステンドグラスの鮮やかな色彩が目を奪った(写真7,8)。しかし、これを写真に写すのは少々無理がある。この華やかで異国情緒溢れる空間を感じるためには、実際に行ってみるより他にないだろう。

写真7 礼拝堂内部(1)
写真8 礼拝堂内部(2)

入り口に対して正面には、メッカの方向を示すためのミフラーブ(写真9)がある。しばらくすると、ムスリムの方々が集まり始め、ミフラーブの前に導師が来て礼拝が始まった。ムスリムの人たちは、導師がクルアーン(聖典)を読み上げている間、ミフラーブの方を向いて横一列に並んで礼拝をしていた。横一列に並ぶのは、信仰する者は神の前で皆平等であるという思想を体現するためだそうだ。イスラームが国や人種を超えて広まり世界宗教となった一因にこの思想があるのだと解説された。

写真9 ミフラーブ(写真中央部)とその周囲

この建物は、ミフラーブがメッカの方向を向くようにして建っている。建物が井ノ頭通りと平行になっていない(写真10)のは、このためらしい。

写真10 建物と道路の間の角度

写真9には、チューリップを描いた模様(写真11)が写っている。トルコはチューリップの原産地で、国を代表する花として親しまれてきたそうだ。

写真11 チューリップの模様

チューリップは一階に並べられている壺(写真12)にも描かれていた。一階には正体不明のドライフルーツが紅茶と一緒に置いてあった。自由に食べてよいと書いてある。食べてみたところ、紅茶によく合う甘さで美味しかった。

写真12 チューリップが描かれた壺

東京ジャーミイの見学は刺激的で非常に面白かった。解説してくれたムスリムの人は、日本でイスラームがどういう教えに基づく宗教なのかきちんと伝わっておらず、ともすれば過激派の印象が先行しがちな現状に心を痛めているという(おそらくアメリカの件もあるのだろう)。読者の皆さんも、もし興味があれば是非東京ジャーミイに来てイスラーム文化を体験してみてほしい。見学は無料かつ予約不要だ。公式ウェブサイトの「ご見学について」に詳細な情報がある。

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