2019年3月14日木曜日

横浜: 磯子火力発電所ほか

友人「おく」と火力発電所に行こうという話になり、2月26日、横浜に行った。

午前9時30分、横浜市の磯子駅に集合した。ここからバスに乗って磯子火力発電所に向かう。
10時に発電所に到着し、見学ツアーを開始した。参加者は私とおくの2人のみだった。最初に小さな部屋に案内され、この発電所の概要を説明するビデオを見せてもらった。磯子火力発電所は石炭で動いている発電所で、コンパクト(*1)な都市型の発電所であることが特徴だという。石炭は資源埋蔵量や供給安定性の観点から天然ガスなどよりも優れているが、排気ガスに含まれる大気汚染物質が多いという問題を抱えている。この発電所では排気ガスの浄化に力を注いでおり、天然ガス火力発電所並みのクリーンさを達成しているそうだ。
模型を使って発電所全体の仕組みについて解説してもらったあと、いよいよ発電所の見学に出発した。船で運ばれてきた石炭は発電所内で一旦貯蔵された後、ボイラーで燃やされる。その熱で水を加熱し、生じた蒸気でタービンを回す。発電所のの心臓部であるボイラーを上から見た様子を写真1に示す。
写真1 ボイラー
ボイラーは宙吊りになっており、下は地面に接していない。石炭を燃やすと、ボイラーにクリンカと呼ばれる石炭灰が付着する。ボイラーは金属製で、内部の温度によって伸び縮みする。火力発電所では電力需要に応じて出力が柔軟に調整されるが、それにより付着したクリンカが底に落ちる。こうして回収されたクリンカは土壌改良などに用いられる。私が一番面白いと思ったポイントがここである。
建物の屋上に上ると、海が見渡せた。発電所には、一隻の船がとまっていた(写真2)。石炭を積み下ろしている最中のようだ。
写真2 セルフアンローダー船とベルトコンベア
この船は、自動積み下ろし装置を備えていることから「セルフアンローダー(self-unloader)船」と呼ばれる。発電所内では、石炭はベルトコンベアで運ばれる。騒音を低減するため、風で石炭を浮かせながら運んでいるそうだ。
屋上には煙突があった。この煙突の断面は円形ではなく、縦に潰れた形をしている。これは近くにある庭園「三渓園」からの景観に配慮するためだそうだ。係の人の説明によれば、「三渓園から見えにくい」ことと「風に強い」ことを両立するためには大きな苦労があったらしい。
発電所を一通り見て回ったが、我々の都市生活がどのようにして支えられているのか、その一旦が垣間見えたようで非常に面白かった。質問もたくさんできた(*2)し、無料でここまで遊べる場所はなかなかない。見学者2人のためにわざわざ係の人を3人くらいつけて下さって贅沢な体験であった。磯子駅は周辺に工場や交通量の多い道路があり空気が悪かったが、それさえ目をつぶれば(下水処理場と違って)デートスポットとしても優れていると言えるだろう。オススメである。

昼頃、発電所を出発し、横浜中華街を通って横浜税関資料展示室に行った。中華街は食べ放題の店と食べ歩き用の肉まんの店だらけでちょっとしたランチに向く感じではなく、中華街では何も食べずにみなとみらいでカレーを食べた。横浜税関資料展示室は、違法薬物の密輸の手口を模型で解説してあったり、偽ブランド品と本物を見分けるクイズコーナーがあったりしてなかなか面白かった。コンクリ塊を中空にして、そこに薬物を詰めていたという大掛かりな事例には特に驚かされた。ただ、私は覚せい剤目当てで行っていたため、本物の覚せい剤がなかった(置いてある"覚せい剤"は全て模造品)のはやや肩透かしであった。

15時頃、赤レンガ倉庫に行った。有名だから何か見るものがあるのだろうと思っていたが、色々な店があるだけで特に何もなかった。その辺をぶらぶら歩いていると、衝撃的な看板が目に入った。

北朝鮮工作船展示!? あまりに攻めた展示に目を疑った。しかし、臨時休館で中に入ることは叶わなかった。
その後は、歩いて横浜駅に行った。途中、鉄道模型博物館など見所っぽいスポットが色々あったのだが、どれも閉まっていた。面白かったのは旧横浜船渠のエアー・コンプレッサーくらいだ。おくは「横浜何もないな。覚せい剤もないし。火力発電所しかない」と言っていた。横浜駅から東急に乗り、中目黒駅で解散した。

あとで調べてみて分かったのだが、海上保安資料館で展示されている北朝鮮工作船は覚せい剤取引に関与していた疑いが持たれているそうだ。税関は所詮FAKE、ホンモノはこっちということか。入れなかったのが悔やまれる。また横浜に行きたい、そう強く思った。

(*1)この発電所が最初に作られたときは広い用地があったそうだ。ところが、次第に東京-横浜都市圏が拡大し、発電所の周囲も都市化していった。更に、都市圏の拡大に伴い、首都圏の電力需要が逼迫するようになった。このため、敷地はそのままで炉を増やして出力を増加させる必要に迫られたのだ。既存の発電所を止めないようにして、電気を作りながらも現一号機と二号機の建設を進めたのだという。こうして、同じ敷地面積でありながら50万kWの出力を120万kWにまで引き上げた今の磯子火力発電所が作り上げられた。
(*2)ただ、その全てに答えてもらった訳ではない。私が答えにくい質問ばかりあまりに大量に投げかかけるので、係の人は株主用なのか何なのか分からない資料を棚から取り出して手渡してきた。これを読めということか。

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