2021年12月20日月曜日

小説「まだらの生前葬」

これは「じゃれ本」のルールを踏まえ、AIと一緒に執筆したリレー小説である。まずはこちらの記事をご覧いただきたい。

リレー小説をAIと執筆!「現在の温度は変換器」

以下、同様のルールで書いた小説「まだらの生前葬」を掲載する。今回は[1]を私が、[3]を北が担当した。

--------------------------------------------------
『まだらの生前葬』 

[1]
「あなたに残された命は9ヶ月です」
検査の末に病院で医師から告げられたのは、余命宣告だった。半年ほど前から下腹部にぼんやりとした圧迫感と痛みが続いていた。始めはただの便秘だと思っていたが、どんな薬を飲んでも症状は強まるばかりでよくならない。そこで近所のクリニックを受診したところ、あれよあれよと大病院に回され、結果として肝硬変から肝臓癌が進行していることが明らかとなったのだった。 

[2]
医者からは家族への説明や入院手続きについてなどの説明を受けた後、今後の治療方針についてはまた後日連絡しますと言って帰って行った。そのあと病室では妻が泣き崩れた。どうすることもできない無力な自分が悔しかった。そして俺は決意したのだ。

[3]
「明日から晩飯の後は歯を磨こう」 おれに残された健康は歯はもう一本も残っていない。歯がのこっていないと言うか、上あごから額にかけた頭蓋骨の骨の内部にまんべんなく膿がたまっている状況なので、もう小手先の掃除とかそんなんでどうにかなる段階では無いのだが、とにかく明日から磨くことに決めた。

[4]
しかしまぁ、今日はもう寝よう。そう思い、部屋の明かりを消してベッドに入る。 布団の中に入り、目を閉じてみるものの……眠れない。 眠気はあるのだ。だが意識がはっきりし過ぎているのか、なかなか眠りに入ってくれない。

[5]
「ビールが飲みたい」
眠れない時は寝酒に限る。そうやって俺は肝硬変をここまで進行させてきた。どうせ9ヶ月しかない命だ。好きなだけ酒を飲んで死んでやろう。階段を降りてキッチンに行き、チータラと缶ビールを取り出す。何気なくテレビをつける。するとそこには見覚えのある顔があった。

[6]
『それでは本日のゲストをお呼びしましょう! 先日CDデビューしたばかりの新人アイドルの……』 「えっ?」 その瞬間、俺の手からビールが滑り落ちた。缶は音を立てて床に落ちる。テレビの画面には最近売り出し中の新人アイドルグループのメンバーが映っていた。

[7]
 「みなさん初めまして!僕たち”時ォ(トッキォ)”と申します!」 大丈夫なのか。いまこのタイミングでそのグループ名が通ってしまうのか。若干”巨頭ォ”っぽさもある感じもなんか嫌だし。 「僕らの名前を聞いてみなさんが思い浮かべたもの、当ててあげましょうか?」
グループのリーダーがカメラを一切瞬きせずに見つめながら話し始めた。
 「ええそうです。僕らと同じ発音をする男性の3~5人ぐらいのアイドルバンドグループではありませんか?」 

[8]
正解だよ。なんなら今俺がそのグループのファンだよ。
「でも残念、はずれです」
「正解は……『超高校級の冒険家』という冒険家の卵です!」
「「「超高校級の冒険家ィ?!?!?!」」」
「はい、そうです」
なに言ってんだこいつら。
「僕は冒険家が夢なのですがなかなかいい機会に恵まれなくてですね……」
リーダーが語り始めた。
「それでたまたま同じ名前のアイドルグループがいると聞いて応募してみたんですけどまさか受かるとは思わなくって」

[9]
ブチッ。 俺はテレビを消した。俺の心を読んでいるのか?気色悪い。思考を何者かに盗聴されているのかもしれない。アルミホイルだ。アルミホイルを大量に買ってこよう。家の窓全てに貼るのだ。電子レンジも怪しい。あいつは電磁波を発しているからな。携帯電話も捨ててしまえ……。
「どうしたの、あなた」
しまった。妻を起こしてしまったようだ。

[10]
「いや、なんでもないよ」
「そう?」
妻は目を擦りながら寝室に戻っていった。 しかし、一体誰が俺を監視しているんだ。まさか、神が? そんな馬鹿なことあるか。 それに、もし本当に神がいたとして、何故こんなことをするのか。 それは分からない。だが、俺は絶対に犯人を見つけ出してやる。そして、その目的を問いただしてやるのだ。

[11]
それこそが俺にできるこの子の敵討ち。医師に宣告をうけてから家族の意思はバラバラではあるが、でもきっと犯人を見つけられれば俺たちはみんな救われるはずだ。それ俺たち残された家族に唯一のこされた出来ること。バラバラの家族をバラバラのまま救済する、まだらの生前葬だ。

--------------------------------------------------
あのテレビからはやはり毒電波が出ていたようだ。

0 件のコメント: