2018年4月28日土曜日

前期教養の合わなかった点

東京大学の学習環境はやはり優れている。周りの学生は優秀で刺激になり、図書館の資料は充実していて、たくさんの立派な先生方と議論できる。
しかし、前期教養では、学生の優秀さという利点から来る欠点も強く感じられた。例えば、学生が優秀であると教員から学生への要求水準が自然と高くなっていく。ALESSでは、入学してから数週目の学生にいきなり「英語論文を探して読んでこい」という課題が出されるが、私としてはこれは相当無茶な要求だと思っている。東大生は優秀で勤勉だからそれでもなんとかこなしてしまうのだが、こなせてしまうので教員は課題の厳しさに気づけない。こんな調子で続いていく授業についていこうとして、私はしまいには熱を出して寝込んでしまったのだった。
あるいは、授業がただただ意味不明な講義もあった。しかし、授業がいくら意味不明でも、学生が優秀だと自習して理解してしまう。結果、わけのわからない授業をする教員が普通に難しい試験を出しても周りが解けてしまって自分は落第する、ということが起こる。
前期教養を特徴付ける制度の一つ、進振りも利点とも欠点ともつかない仕組みである。東京大学では優秀な学生が熱心に勉強しているので、多少頑張ったところで良い点は取れない。進振りは勉強の動機付けになっているとはいうものの、もともと真面目で頭のいい学生たちであるので、切磋琢磨というより過剰な競争になっていると感じられた。

私が今いる教養学部後期課程ではそんなことにはなっていない。雰囲気はもっとのんびりしていて、私にはこちらの方が合っていた。だから、これらは学生の学力に直接起因する問題というより、制度設計の問題だろう。
日本では、「デキる」生徒はだいたい東大に行くものだ、という風潮があるように感じられる。しかし、私の意見では、東大の制度設計はかなりクセが強くて好みが分かれるものである。この"クセの強さ"は、もっと高校生の間に知られてもよいはずだ。

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